松岡美術館「エコール・ド・パリ展」

superstar_ringo2006-05-10

 20世紀初頭のパリは、19世紀末の印象派の後を受けて、様々な前衛芸術が花開いていました。セーヌ左岸のモンパルナスでは、中心部ヴァヴァン交差点近くにカフェや共同アトリエが多く点在し、世界中の若い芸術家たちを惹きつけていました。「エコール・ドパリ」と呼ばれる画家たちは、そうしたモンパルナスの自由な雰囲気と芸術的な交わりに憧れて、多くは外国からパリに移住してきた異邦人画家たちでした。(中略)
 本展では、当館所蔵のフランス近代絵画コレクションより、第1次世界大戦前後のパリで活躍したエコール・ド・パリの画家たち、モディリアーニ、キスリング、藤田嗣治シャガールユトリロ、マリー・ロランサン、ピカソなどの作品を展示し、芸術都市パリがもっとも華やいだ時代のフランス美術の魅力をご紹介するものです。

 
 今橋映子先生の授業の一環として、松岡美術館の『エコール・ド・パリ展』を見てきた。ここは白金台にあるこじんまりとした美術館なんだけど、西洋近代絵画から日本画・アジアの文物・オリエントや地中海の古代遺物・現代彫刻など、本当に幅広い分野の美術品が収集されていて面白かった。…あと、お庭がかわいかったな。鶴の置物がいたりして。
 
 私には、風景画よりも人物画、更に、男性より女性を描いた作品に注目してしまう癖がある。今回も、パステル調のきれいな色を使って黒目の大きな独自の女性を描くマリー・ローランサン(参考)や、緑色の陰を入れるなどフォービズムの影響を感じる色使いで官能的な女性を描くヴァン・ドンゲンに長い時間、魅入ってしまった。他には、モーリス・ド・ブラマンクの重厚な色彩と荒々しい筆致で港や森を描いた絵や、ジョルジュ・ルオーの太い線や緑(ビリジアン)の使い方が印象に残っている。
 
 エコール・ド・パリというのは、戦間期のパリで活躍した画家達というくらいのくくりだ。印象派のような区分と違い、作風や技法でまとめられたグループではなく、各画家がバラバラの個性を発揮している。その競演を目の当たりにしただけに、絵というのは、描かれている対象以上に、画家のまなざしを表しているんだとつくづく思った。
 
 展覧会を見た後は、今橋先生にランチをご馳走になる。目黒駅前のLa belle pluieという可愛いカフェで。普段なかなか目黒には来ないので、たまたま来た今日、こんな素敵なお店を見つけたのは収穫だった。